CFDでは、取引金額の全額を用意するのではなく、一定の証拠金を預けて取引します。
ただし、
「必要証拠金とは何?」
「証拠金維持率が下がるとどうなる?」
「ロスカットされるとどうなるの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
CFDでは、相場が予想と反対方向へ動いて含み損が増えると、証拠金維持率が低下します。
そして、CFD会社が定める基準まで証拠金維持率などが低下すると、保有しているポジションが強制的に決済されるロスカットが行われる場合があります。
この記事では、CFDの必要証拠金や証拠金維持率、ロスカットの仕組み、損切りとの違いについて初心者向けにわかりやすく解説します。
CFDの証拠金とは?
CFDの証拠金とは、CFDのポジションを保有するために必要となる資金です。
CFDではレバレッジを利用できるため、取引金額の全額を用意する必要はありません。
例えば100万円分のCFDを取引する場合でも、証拠金率が10%なら、計算上必要となる証拠金は10万円です。
ただし、必要証拠金だけを入金して取引すればよいという意味ではありません。
相場が予想と反対方向へ動いた場合には含み損が発生するため、余裕を持った資金管理が重要です。
必要証拠金とは?
必要証拠金とは、ポジションを保有するために必要となる証拠金です。
例えば、
取引金額100万円 × 証拠金率10% = 必要証拠金10万円
となります。
取引数量を増やしたり、取引金額が大きくなったりすると、必要証拠金も増えます。
証拠金率とは?
証拠金率とは、取引金額に対して何%の証拠金が必要なのかを表した割合です。
100万円分を取引する場合を例にすると、次のようになります。
| 証拠金率 | 必要証拠金の目安 |
|---|---|
| 5% | 5万円 |
| 10% | 10万円 |
| 20% | 20万円 |
証拠金率が低いほど、少ない証拠金で大きな金額を取引できます。
例えば、証拠金率10%なら最大10倍相当、5%なら最大20倍相当のレバレッジになります。
ただし、実際の証拠金率は商品やCFD会社によって異なります。
証拠金率とレバレッジの関係については、
参考記事:「CFDのレバレッジとは?倍率とリスクを解説」
で詳しく解説しています。
必要証拠金と口座にある資金は同じではない
必要証拠金が10万円だからといって、口座に10万円だけあれば余裕を持って取引できるわけではありません。
CFDでは、相場が予想と反対方向へ動くと含み損が発生します。
必要証拠金ぎりぎりの資金で取引していると、少しの含み損でも口座の余力が減り、ロスカットに近づく可能性があります。
そのため、最低限必要となる証拠金だけではなく、相場変動に備えた余裕資金も考えておくことが重要です。
CFDを始めるための最低資金や、必要証拠金と余裕資金の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDはいくらから始められる?少額取引の最低資金・必要証拠金を初心者向けに解説」
CFDの証拠金維持率とは?
証拠金維持率は、必要証拠金に対して、現在の口座資産にどの程度の余裕があるかを見るための目安です。
考え方を簡略化すると、
証拠金維持率 = 有効な口座資産 ÷ 必要証拠金 × 100
でイメージできます。
証拠金維持率が高いほど、必要証拠金に対して口座資産に余裕がある状態と考えられます。
一方、含み損が増えて有効な口座資産が減少すると、証拠金維持率も低下します。
なお、実際に使用される名称や計算方法はCFD会社によって異なる場合があります。
含み損が増えると証拠金維持率は低下する
基本的な流れは、
含み損が増える
↓
有効な口座資産が減る
↓
証拠金維持率が低下する
という形です。
証拠金維持率などがCFD会社の定める基準まで低下すると、ロスカットが行われる場合があります。
証拠金維持率の計算方法や、含み損・ポジション追加によって維持率が変化する仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDの証拠金維持率とは?計算方法・見方・ロスカットとの関係を解説」
CFDのロスカットとは?
ロスカットとは、証拠金維持率などがCFD会社の定める基準を下回った場合に、保有しているポジションを強制的に決済する仕組みです。
損失の拡大を抑えるために設けられていますが、利用者自身が行う損切りとは異なります。
ロスカットが行われる基本的な流れ
ロスカットまでの流れを簡単に整理すると、
含み損が増える
↓
証拠金維持率が低下する
↓
ロスカット基準に到達する
↓
ポジションが強制的に決済される
という形です。
ロスカットによってポジションが決済されると、その時点までの含み損が確定します。
ロスカット基準はCFD会社によって異なる
ロスカットの基準は、すべてのCFD会社で同じではありません。
例えば、
- ロスカットが行われる証拠金維持率
- 判定方法
- 判定タイミング
- 全ポジションを決済するのか、一部を決済するのか
などはサービスによって異なる場合があります。
そのため、取引前には利用するCFD会社のロスカットルールを確認しておきましょう。
CFD会社を選ぶ際は、ロスカットルールだけでなく、取扱銘柄や最低取引数量、取引コストなどもあわせて比較しましょう。
参考記事:「CFD会社を比較|初心者向けの選び方と取引条件を解説」
証拠金維持率が下がる例を見てみよう
証拠金維持率がどのように変化するのか、簡単な例で確認してみましょう。
最初の状態を、
- 有効な口座資産:20万円
- 必要証拠金:10万円
とします。
この場合、
20万円 ÷ 10万円 × 100 = 200%
です。
その後、含み損によって有効な口座資産が15万円になったとすると、
15万円 ÷ 10万円 × 100 = 150%
になります。
さらに有効な口座資産が12万円まで減少すると、
12万円 ÷ 10万円 × 100 = 120%
です。
| 有効な口座資産 | 必要証拠金 | 証拠金維持率 |
|---|---|---|
| 20万円 | 10万円 | 200% |
| 15万円 | 10万円 | 150% |
| 12万円 | 10万円 | 120% |
このように、必要証拠金が同じでも、含み損によって有効な口座資産が減少すると証拠金維持率は低下します。
なお、これは仕組みを理解するための簡略例です。
実際の計算方法やロスカット基準はCFD会社によって異なる場合があります。
ロスカットがあるから損失は限定される?
ロスカットは損失の拡大を抑えるための仕組みですが、損失額が必ず一定の範囲に収まるとは限りません。
急変時には想定した価格で決済できないことがある
相場が急激に変動した場合、ロスカット基準に達した価格と実際にポジションが決済される価格が異なることがあります。
例えば、
- 重要な経済指標
- 中央銀行の金融政策
- 地政学情勢
- 市場の急変
などによって、短時間で価格が大きく動く場合があります。
また、市場の流動性が低下している場面では、想定した価格で決済できないこともあります。
ロスカットは損失を完全に防ぐ仕組みではない
ロスカットは損失拡大を抑えるための仕組みですが、元本を保証するものではありません。
そのため、
「ロスカットがあるから入金した資金以上の損失は絶対に発生しない」
とは言い切れません。
ロスカットだけに損失管理を任せるのではなく、自分で取引数量や損切り水準を管理することが重要です。
CFD会社によっては、証拠金状況が悪化した場合に追加証拠金などへの対応が必要になることがあります。追証の仕組みやロスカットとの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDに追証はある?追加証拠金が発生する仕組み・ロスカットとの違いを解説」
ロスカットと損切り注文の違い
ロスカットと損切りは、どちらも損失に関係しますが、仕組みが異なります。
| 比較項目 | ロスカット | 損切り注文 |
|---|---|---|
| 実行主体 | CFD会社のルール | 自分で設定 |
| 主な目的 | 証拠金不足による損失拡大を抑える | 自分で損失を管理する |
| 実行条件 | 証拠金維持率など | 指定した価格など |
| タイミング | ロスカット基準到達時 | 設定した条件到達時 |
ロスカットは、証拠金の状態が悪化したときにCFD会社のルールによって行われます。
一方、損切り注文は、自分が許容できる損失額などをもとに、あらかじめ決済条件を設定するものです。
ただし、損切り注文を設定していても、相場が急変した場合などには指定した価格で必ず約定するとは限りません。
そのため、損切り注文を利用する場合でも、取引数量や口座資金に余裕を持つことが重要です。
CFDで証拠金に余裕を持つためのポイント
CFDでは、ロスカット基準ぎりぎりの状態にならないよう、口座資金とポジションサイズを管理することが重要です。
必要証拠金ぎりぎりで取引しない
必要証拠金ぎりぎりでは、少しの含み損でも証拠金維持率が低下しやすくなります。
相場変動に備えた余裕資金を考えておきましょう。
取引数量を大きくしすぎない
取引数量が大きいほど、同じ価格変動でも損益額は大きくなります。
口座資金に対して大きすぎるポジションを持たず、損失を許容できる範囲で取引数量を決めることが重要です。
損切り水準をあらかじめ決める
CFDでは、ロスカット基準まで含み損を抱える前に、自分で損失を管理することも重要です。
取引前に、
「どこまで価格が逆方向へ動いたら決済するか」
「1回の取引でいくらまで損失を許容するか」
を考えておくことで、損失管理を行いやすくなります。
重要イベントや相場急変に注意する
経済指標や金融政策、企業決算、地政学情勢などによって、CFDの価格が短時間で大きく変動する場合があります。
証拠金に余裕がない状態で大きな値動きが起こると、証拠金維持率が急低下する可能性があります。
重要イベントをまたいでポジションを保有する場合は、口座資金とポジションサイズを確認しておきましょう。
証拠金不足や追加の入金が必要になる場合もある?
CFDでは、証拠金不足が発生した場合の対応方法がCFD会社によって異なります。
サービスによっては、証拠金不足を解消するために、
- 追加の入金
- ポジションの一部または全部の決済
などが必要になる場合があります。
また、追加証拠金(追証)の有無や不足金の扱い、解消期限、ロスカットとの関係なども、すべてのCFDサービスで同じではありません。
そのため、利用するCFD会社の証拠金不足・追加入金・ロスカットに関する取引ルールを事前に確認しておきましょう。
CFDの証拠金・ロスカットについてよくある質問
CFDはいくらの証拠金が必要ですか?
必要証拠金は、取引する商品、価格、取引数量、証拠金率などによって異なります。
例えば100万円分の取引で証拠金率が10%なら、計算上の必要証拠金は10万円です。
ただし、実際の必要証拠金はCFD会社や銘柄によって確認する必要があります。
証拠金維持率は何%あれば安全ですか?
一律に「○%以上なら安全」と断定することはできません。
取引する銘柄の値動き、ポジションサイズ、CFD会社のロスカット基準などによって必要な余裕は異なります。
最低基準ぎりぎりではなく、相場変動に備えた余裕を持つことが重要です。
ロスカットされるとどうなりますか?
ロスカット基準に達すると、CFD会社の取引ルールに従って、保有ポジションの全部または一部が強制的に決済される場合があります。
具体的な決済方法や判定基準はCFD会社によって異なります。
ロスカットされれば入金額以上の損失は出ませんか?
必ずそうとは限りません。
相場が急激に変動した場合などには、ロスカット基準に達した価格と実際の決済価格が異なり、想定以上の損失が発生する可能性があります。
ロスカットは損失拡大を抑えるための仕組みですが、損失額を保証するものではありません。
ロスカットと損切りは同じですか?
同じではありません。
ロスカットは、証拠金維持率などが一定の基準に達した場合にCFD会社のルールによって行われる強制決済です。
一方、損切りは、自分が設定した価格や損失基準などに基づいてポジションを決済するものです。
まとめ|CFDでは証拠金維持率とロスカットの仕組みを理解しよう
CFDでは、ポジションを保有するために一定の証拠金が必要です。
重要なポイントをまとめると、
- 必要証拠金はポジションを保有するために必要な資金
- 必要証拠金と余裕を持って取引できる資金は別
- 含み損が増えると証拠金維持率が低下する
- 一定の基準に達するとロスカットされる場合がある
- ロスカット基準や判定方法はCFD会社によって異なる
- ロスカットがあっても損失を完全には防げない
- 証拠金不足への対応もCFD会社によって異なる
- 取引数量や損切り水準を自分で管理することが重要
といった点があります。
CFDの証拠金を考えるときは、「最低いくらあればポジションを持てるか」だけではなく、含み損が発生した場合にどの程度の余裕があるかまで考えることが重要です。
ロスカットは損失拡大を抑えるための仕組みですが、損失管理をすべて代わりに行ってくれるものではありません。
必要証拠金、証拠金維持率、ロスカット基準を確認したうえで、余裕を持った資金と無理のない取引数量でCFDを利用しましょう。

