CFDでは、相場が予想と反対方向へ動いたときに、損失の拡大を抑えるために損切りを行うことがあります。
「どこで損切りすればいい?」
「逆指値注文を入れれば大丈夫?」
「ロスカットまで待ってはいけない?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
CFDは証拠金を利用するレバレッジ取引のため、取引金額や値動きによっては短期間でも損失が大きくなる可能性があります。
そのため、損切りでは単に「何円下がったら決済する」と考えるだけでなく、損切り位置・取引数量・許容できる損失額をセットで考えることが重要です。
この記事では、CFDの損切りとは何か、逆指値注文を使った損切り方法、損切りタイミングや損切り幅、資金管理との関係、ロスカットとの違いを初心者向けに解説します。
※利用できる注文方法、逆指値注文の発動・約定条件、ロスカット基準などはCFD会社・商品によって異なります。実際に取引する際は、利用する会社の最新の商品・注文仕様を確認してください。
CFDの損切りとは?
CFDの損切りとは、一般に相場が予想と反対方向へ動いたときに、損失が発生しているポジションを決済することです。
例えば、価格上昇を予想して買ったCFDが下落した場合、それ以上の損失拡大を抑えるために買いポジションを決済することがあります。
損切りをすると、その時点までの損失は確定します。
一方で、ポジションを保有し続けた場合にさらに損失が拡大するリスクを抑える役割があります。
損切りをしないと損失が拡大する場合がある
CFDではレバレッジを利用するため、口座資金に対して大きな取引金額を保有できます。
そのため、相場が予想と反対方向へ動けば、損失が大きくなる可能性があります。
含み損が増えると証拠金維持率が低下し、CFD会社が定める基準に達した場合にはロスカットの対象になることもあります。
CFDの証拠金やロスカットの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDの証拠金・ロスカットとは?仕組みを解説」
CFDの損切りには手動決済や逆指値注文を利用できる
CFDの損切りは、相場を見ながら手動でポジションを決済する方法のほか、あらかじめ逆指値注文を設定しておく方法があります。
逆指値注文を利用すると、一定の価格への到達を条件に決済注文を発動させることができます。
チャートを常に確認できない場合でも、事前に損切り条件を設定しておけることが特徴です。
逆指値注文で損切り価格を設定する
例えば、あるCFDを10,000で買ったとします。
「9,800まで下落したら損切りする」と決めた場合、9,800付近を条件とする売り逆指値を設定する方法があります。
価格がその条件に到達すると、商品・注文仕様に従って決済注文が発動します。
ただし、逆指値注文の具体的な発動・約定方法はCFD会社によって異なります。
買いポジションと売りポジションでは損切り方向が逆になる
買いと売りでは、損失が発生する方向が異なります。
買いポジションでは、価格が下落すると損失方向へ動くため、一般に現在価格より低い水準へ損切りの売り逆指値を設定します。
一方、売りポジションでは、価格が上昇すると損失方向へ動くため、一般に現在価格より高い水準へ損切りの買い逆指値を設定します。
成行注文・指値注文・逆指値注文の基本的な違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDの成行注文・指値注文・逆指値注文とは?初心者向けに解説」
逆指値を入れても指定価格で必ず損切りできるとは限らない
逆指値注文を設定していても、損失額を完全に固定できるとは限りません。
相場状況によっては、指定した価格と実際の約定価格が異なる場合があります。
相場急変時にはスリッページが発生することがある
経済指標や中央銀行の政策発表、重要ニュースなどによって相場が急変すると、価格が短時間で大きく動くことがあります。
その場合、逆指値注文が発動しても、指定した価格とは異なる価格で約定する可能性があります。
このような価格のずれは一般にスリッページと呼ばれます。
価格ギャップでは損切り価格を超えて約定する場合がある
週末や取引休止時間をまたいだ場合などには、前回の取引価格から離れた価格で取引が再開することがあります。
例えば9,800で損切りする逆指値を設定していても、次に取引可能となった価格が9,700であれば、9,800より不利な価格で約定する可能性があります。
そのため、逆指値注文を設定していれば想定以上の損失が発生しないとは限りません。
CFDを翌日や週末まで持ち越した場合のリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDを翌日に持ち越すとどうなる?コスト・調整額・リスクを解説」
CFDの損切りタイミングはどう決める?
CFDの損切りタイミングに、すべての銘柄や取引方法に共通する正解があるわけではありません。
取引する銘柄の値動きや取引スタイル、資金、取引数量などによって損切り位置は異なります。
エントリー前に損切り条件を決める
損切りについては、ポジションを持つ前に考えておくことが重要です。
含み損が発生してから、
「もう少し待てば戻るかもしれない」
と判断すると、当初決めていた損切り基準を変更したくなる場合があります。
そのため、
- どこでエントリーするか
- どこまで逆方向へ動いたら想定が崩れるか
- その場合いくらの損失になるか
を事前に確認しておくと、損失管理を行いやすくなります。
想定したシナリオが崩れた場所を基準にする
損切り位置を考える方法の一つとして、エントリーの根拠が崩れる場所を基準にする考え方があります。
例えば、
- サポートラインを明確に下抜けた
- レジスタンスラインを明確に上抜けた
- 想定していたトレンドが崩れた
などです。
ただし、どの価格を基準にするかは取引手法によって異なります。
単純に「○%下がったら必ず損切り」と考えるのではなく、自分の取引根拠との関係も確認することが重要です。
値動きの大きさも考える
CFDは銘柄によって値動きの大きさが異なります。
日経225、NASDAQ100、金、原油などでは、通常の値動きの幅や特徴も異なるため、取引する銘柄の値動きを考慮して損切り位置を決めることが重要です。
CFDの損切り幅と取引数量の関係
CFDの損切りでは、損切り幅と取引数量をセットで考えることが重要です。
ここでは、1回の取引でどの程度の損失を想定するかを考えます。
損切り幅が広いほど同じ数量では想定損失が大きくなる
その他の条件が同じであれば、損切りまでの値幅が広くなるほど、同じ取引数量での想定損失は大きくなります。
また、同じ損切り幅でも、取引数量を増やせば想定損失は大きくなります。
つまり、
損切りまでの値幅
と
取引数量
の両方が、想定損失額に関係します。
実際の損益計算方法は、銘柄の価格、取引単位、契約仕様などによって異なります。
先に許容損失額を決めて取引数量を調整する
損切りを考えるときは、
どれだけ大きなポジションを持てるか
から考えるのではなく、
この取引でどの程度の損失まで許容するのか
から考える方法があります。
例えば、
許容する損失額を決める
↓
損切り位置を決める
↓
その損切り幅に合わせて取引数量を調整する
という流れです。
損切り幅を広くする場合は取引数量を小さくするなど、想定損失額とのバランスを確認することが重要です。
CFDの損切りと資金管理の関係
1回の取引で想定する損失額だけでなく、口座全体でどの程度のリスクを抱えているかも確認する必要があります。
複数ポジションを含めた口座全体のリスクを確認する
複数のCFDポジションを同時に保有している場合、一つひとつの想定損失が小さくても、合計すると口座資金に大きな影響を与えることがあります。
そのため、
- 各取引で想定している損失額
- 複数ポジションの合計リスク
- 必要証拠金
- 証拠金維持率
- 口座資金に対する取引金額
などを確認することが重要です。
CFDではレバレッジを利用できるため、口座資金に対して取引金額が大きくなるほど、小さな価格変動でも損益額が大きくなる可能性があります。
CFDのレバレッジについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDのレバレッジとは?倍率とリスクを解説」
証拠金維持率については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDの証拠金維持率とは?計算方法・見方・ロスカットとの関係を解説」
CFDで損切りを先延ばしするときの注意点
含み損が発生すると、
「もう少し待てば戻るかもしれない」
と考えて、事前に決めた損切り位置を遠ざけたくなることがあります。
相場状況や取引戦略に応じて注文を変更すること自体が常に問題というわけではありません。
ただし、損失を確定したくないという理由だけで損切り位置を変更し続けると、当初の想定より損失が大きくなる可能性があります。
エントリー前に決めた損切り条件を変更する場合は、単に含み損を確定したくないからではなく、取引の前提や根拠に変化があったのかを確認することが重要です。
CFDで損切りするときの注意点
損切りでは、損切り幅や注文状況にも注意が必要です。
損切り幅は狭すぎても広すぎても注意する
損失を小さくしたいからといって、損切り位置を現在価格のすぐ近くに設定すればよいとは限りません。
狭すぎると、通常の値動きでも逆指値注文が発動しやすくなる場合があります。
一方、損切り幅を広げすぎると、同じ取引数量では損切りした場合の損失額が大きくなる可能性があります。
そのため、銘柄の値動き、エントリー根拠、取引数量、許容損失額を合わせて考えることが重要です。
損切り注文が有効になっているか確認する
逆指値注文を出したつもりでも、
- 注文が正しく受け付けられているか
- 注文数量が合っているか
- 注文の有効期限が切れていないか
- 注文を変更・取消していないか
などを確認する必要があります。
実際にポジションを保有したあとは、注文状況も確認しましょう。
CFDの損切りとロスカットの違い
損切りとロスカットは、どちらも損失が発生しているポジションを決済する場合がありますが、仕組みは異なります。
| 項目 | 損切り | ロスカット |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 自分の判断・注文でポジションを決済する | CFD会社の基準に基づいて強制決済される |
| タイミング | 自分で設定・判断する | 証拠金状況などが基準に達した場合 |
| 主な役割 | 自分で損失拡大を管理する | 口座リスクの拡大を抑えるための仕組み |
| 約定価格 | 市場状況によって想定と異なる場合がある | 市場状況によって基準到達時の価格と異なる場合がある |
ロスカットは、損失を必ず一定額以内に抑えることを保証する仕組みではありません。
急激な相場変動などでは、ロスカット基準に達した価格と実際の決済価格が異なる場合があります。
そのため、「ロスカットがあるから自分で損切りを考える必要はない」と考えないことが重要です。
CFDで損切りする前に決めておきたいこと
CFDでポジションを持つ前には、次のような項目を確認しておきましょう。
- どこでエントリーするか
- どこで損切りするか
- 損切りした場合の想定損失額
- どの程度の取引数量にするか
- 証拠金維持率にどのような影響があるか
- 手動決済か逆指値注文を利用するか
- 重要イベントや週末をまたぐか
CFDの損切りについてよくある質問
CFDでは必ず損切り注文を入れるべきですか?
すべての取引について一律に決めることはできません。
ただし、レバレッジを利用するCFDでは、相場が予想と反対方向へ動いた場合にどのように対応するかを事前に考えておくことが重要です。
損切りは何%にすればよいですか?
一律の適正値はありません。
銘柄の値動き、取引スタイル、口座資金、取引数量、エントリー根拠などによって異なります。
単純に一定の割合だけで決めるのではなく、損切りした場合の損失額まで確認しましょう。
逆指値を入れれば想定以上の損失は発生しませんか?
発生する可能性があります。
相場急変や価格ギャップなどによって、逆指値の指定価格より不利な価格で約定する場合があります。
逆指値注文は損失管理に利用できますが、損失額を完全に固定するものではありません。
ロスカットがあるなら損切りしなくてもよいですか?
ロスカットは、自分で行う損切りの代わりではありません。
CFD会社が定める基準に基づいて強制決済する仕組みなので、自分で行うリスク管理とは分けて考える必要があります。
まとめ|CFDの損切りは注文・損切り幅・取引数量をセットで考えよう
CFDの損切りは、相場が予想と反対方向へ動いたときに、損失の拡大を管理するためにポジションを決済することです。
損切りは手動で行うほか、逆指値注文を利用してあらかじめ損切り条件を設定できる場合があります。
ただし、相場急変や価格ギャップによって、逆指値の指定価格と実際の約定価格が異なることもあります。
また、損切りでは、
- どこで損切りするか
- その場合いくらの損失になるか
- どの程度の取引数量にするか
をセットで考えることが重要です。
複数のポジションを保有する場合は、1回の取引だけでなく、口座全体でどの程度のリスクを抱えているかも確認する必要があります。
エントリー前に損切り条件と許容できる損失額を考え、その範囲に合わせて取引数量を調整することがCFDのリスク管理では重要です。

