CFDでは、同じ銘柄について**買いポジションと売りポジションを同時に保有する「両建て」**ができる場合があります。
「両建てすると損失を防げる?」
「買いと売りを同じ数量持つとどうなる?」
「両建てすると証拠金は2倍必要?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
両建てでは、同じ銘柄の買いと売りを同時に保有することで、その後の価格変動による損益が相殺される方向になります。
ただし、スプレッドや各種調整額などが関係するほか、必要証拠金の扱いや両建ての可否もCFD会社・商品によって異なります。
この記事では、CFDの両建てとは何か、仕組みやメリット・デメリット、証拠金との関係、利用するときの注意点を初心者向けに解説します。
※両建ての可否、注文の処理方法、必要証拠金、各種調整額などはCFD会社・口座・商品によって異なります。実際に取引する際は、利用する会社・商品の最新ルールを確認してください。
CFDの両建てとは?
CFDの両建てとは、一般に同じ銘柄について買いポジションと売りポジションを同時に保有する取引方法です。
例えば、日経225 CFDについて、
- 買いポジション:1Lot
- 売りポジション:1Lot
を同時に保有している状態が両建ての一例です。
ただし、すべてのCFDで同じように両建てできるとは限りません。
買いと売りを同時に保有する
両建てでは、同じ銘柄について買いポジションと売りポジションを同時に保有します。
例えば、日経225 CFDを1Lot買い、同時に1Lot売るといった形です。
その後の損益の動きについては、次の章で詳しく見ていきます。
両建てとポジションを決済することは違う
両建てと、既存ポジションを決済することは意味が異なります。
例えば買いポジションを保有している場合、両建てでは元の買いポジションを残したまま売りポジションも保有します。
一方、買いポジションを決済すれば、そのポジションは終了して損益が確定します。
つまり、
両建て=元のポジションを残して反対方向のポジションも持つ
決済=元のポジションを終了する
という違いがあります。
CFDで両建てすると損益はどうなる?
同一銘柄を同じ数量で両建てした場合、その後の価格変動による方向性の損益は相殺される方向になります。
ただし、取引全体の損益が完全にゼロになるとは限りません。
同じ数量なら価格変動損益は相殺される方向になる
例えば、同じCFDについて同じ数量の買いと売りを保有しているとします。
価格が上昇すれば、
- 買いポジション → 利益方向
- 売りポジション → 損失方向
へ動きます。
反対に価格が下落すれば、
- 買いポジション → 損失方向
- 売りポジション → 利益方向
へ動きます。
そのため、数量などの条件が同じであれば、その後の価格変動による損益は相殺される方向になります。
スプレッドや各種調整額までなくなるわけではない
両建てしても、取引に伴うコストまでなくなるとは限りません。
商品やCFD会社によって、
- スプレッド
- 取引手数料
- 金利調整額
- 権利調整額
- その他の商品固有の調整額
などが関係する場合があります。
そのため、価格変動による損益だけでなく、売買や保有に伴うコストも確認することが重要です。
CFDのスプレッドや各種調整額などの取引コストについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDのスプレッド・手数料・取引コストとは?初心者向けに解説」
CFDで両建てするメリット
両建てには、利用目的によって考えられる特徴があります。
一時的に価格変動の影響を抑えられる場合がある
既存ポジションと反対方向のポジションを保有することで、その後の価格変動による方向性の影響を一時的に抑えられる場合があります。
例えば、買いポジションを保有しているときに同じ数量の売りポジションを追加すれば、その後の値動きによる買いと売りの損益は相殺される方向になります。
既存ポジションを残せる場合がある
両建てが可能な取引環境では、既存ポジションを決済せずに反対方向のポジションを保有できます。
例えば、中長期の買いポジションを残しながら、一時的な下落に対して売りポジションを持つといった使い方があります。
CFDで両建てするデメリット
両建てでは、ポジション数が増えるため、取引コストや管理の複雑さに注意が必要です。
スプレッドなどの取引コストが増える
両建てでは買いと売りの両方のポジションを建てるため、それぞれの取引でスプレッドなどの影響を受けます。
その後、両方のポジションを決済するときにも取引条件の影響を受けます。
そのため、元のポジションをそのまま決済する場合と比べて、取引コストが増える可能性があります。
金利調整額などが両方のポジションに関係する場合がある
ポジションを翌日以降まで保有する場合、商品によっては金利調整額などが関係します。
買いと売りを同時に保有していても、それぞれの調整額が必ず相殺されるとは限りません。
売買方向や金利環境、CFD会社の商品ルールによって、受け取り・支払いの条件が異なる場合があります。
金利調整額については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDの金利調整額とは?受け取り・支払いの仕組みを解説」
利益と損失が相殺されて管理が複雑になる
両建てすると、
「買いと売りのどちらを、いつ決済するのか」
という判断が必要になります。
片方を決済したあとに相場が反対方向へ動けば、残したポジションの損失が拡大する可能性があります。
そのため、両建てを利用する場合は、どの条件で両建てを解除するのかまで考えておくことが重要です。
CFDの両建てと証拠金の関係
CFDは証拠金を利用するレバレッジ取引です。
両建てを利用する場合も、必要証拠金や証拠金維持率を確認する必要があります。
両建て時の必要証拠金は会社によって異なる
両建て時の証拠金計算には、すべてのCFD会社に共通するルールがあるわけではありません。
取引方式によって、
- 買い・売りそれぞれについて証拠金を計算する
- 一方のポジションなどを基準に計算する
- 商品独自の証拠金ルールを適用する
など、扱いが異なる場合があります。
そのため、
「両建てなら必要証拠金は増えない」
「両建てなら必ず2倍の証拠金が必要」
と一律に考えることはできません。
実際に利用する会社・商品の証拠金ルールを確認しましょう。
証拠金維持率への影響も確認する
両建てした場合も、口座全体の証拠金状況を確認することが重要です。
主に、
- 必要証拠金
- 有効証拠金
- 証拠金維持率
- ロスカット基準
などを確認します。
両建て後に必要証拠金が増える場合などは、証拠金維持率にも影響する可能性があります。
証拠金維持率の意味や計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDの証拠金維持率とは?計算方法・見方・ロスカットとの関係を解説」
CFDの両建てはいつでもできる?
CFDで両建てできるかどうかは、CFD会社・商品・取引方式によって異なります。
両建てに対応しているか確認する
まず、利用するCFDで同じ銘柄の買いと売りを同時に保有できるか確認しましょう。
あわせて、
- 同一口座で両建てできるか
- 対象商品に制限があるか
- 注文方法による違いがあるか
なども確認します。
反対注文が決済になる場合もある
取引システムによっては、買いポジションを保有している状態で売り注文を出すと、新しい売りポジションを建てるのではなく、既存の買いポジションの全部または一部を決済する形になる場合があります。
そのため、両建てを利用したい場合は、反対注文が新規注文として扱われるのか、既存ポジションの決済として扱われるのかを事前に確認しておきましょう。
CFDで両建てするときの注意点
両建てを利用するときは、価格変動だけでなく、取引コストやポジション管理も確認しましょう。
両建てすれば損失を防げるわけではない
両建てをしても、すでに発生している含み損が消えるわけではありません。
また、片方のポジションを決済すれば、残ったポジションは再び価格変動の影響を受けます。
そのため、両建て=安全な取引、損失がなくなる取引と考えないことが重要です。
両建てする必要があるかを確認する
両建てをする前には、元のポジションを決済する方法と比べて、本当に両建てする必要があるのかを考えることも重要です。
両建てではポジションが増えるため、取引コストや管理の手間が増える場合があります。
単に「損失を確定したくない」という理由だけで両建てすると、その後の判断が複雑になることがあります。
買い・売り両方のポジションを管理する
両建てでは、買い・売り双方について、
- 取引数量
- 建値
- 評価損益
- 必要証拠金
- 各種調整額
- 決済条件
などを管理する必要があります。
片方だけを決済すると、その時点から残したポジションの価格変動による影響を再び受けます。
両建てを始める前に、どのような条件で両方のポジションを解消するのかも考えておきましょう。
CFDの両建てと損切りはどう違う?
両建てと損切りは仕組みが異なります。
| 項目 | 両建て | 損切り |
|---|---|---|
| 元のポジション | 残す場合がある | 決済する |
| 反対ポジション | 新たに持つ | 原則として必要ない |
| 損益 | 含み損益が残る場合がある | 決済したポジションの損益が確定する |
| 管理 | 複数ポジションの管理が必要 | 比較的シンプル |
| コスト | 追加の取引コストが関係する場合がある | 決済時の取引条件などが関係する |
両建てでは元のポジションを残す一方、損切りでは既存ポジションを決済して損益を確定します。
どちらが一律に優れているとはいえませんが、両建てが損切りを先送りするだけの状態になっていないかは確認する必要があります。
CFDの両建てを利用する前に確認したいこと
両建てを利用する前には、
- 利用するCFDで両建てが可能か
- 反対注文が新規注文になるか決済になるか
- 両建て時の必要証拠金
- スプレッド・取引手数料
- 金利調整額などの各種調整額
- 証拠金維持率・ロスカットルール
- 買い・売り両方のポジションをどのように決済するか
を確認しましょう。
CFDの両建てについてよくある質問
CFDでは両建てできますか?
CFD会社・商品・取引方式によって異なります。
同じ銘柄の買い・売りを同時に保有できる場合もあれば、反対注文が既存ポジションの決済として扱われる場合もあります。
実際の取引ルールを確認しましょう。
両建てすれば損失はなくなりますか?
なくなりません。
同じ数量の買い・売りによって、その後の価格変動による損益が相殺される方向になっても、すでに発生している損失が消えるわけではありません。
また、取引に伴うコストなども確認する必要があります。
両建てすると証拠金は2倍必要ですか?
一律にはいえません。
両建て時の必要証拠金の計算方法はCFD会社・商品によって異なります。
利用する会社の商品ルールを確認しましょう。
両建てと損切りはどちらがよいですか?
一律には決められません。
両建てでは元のポジションを残せる場合がありますが、取引コストや管理するポジションが増える場合があります。
損切りではポジションを決済し、その取引の損益を確定します。
それぞれの仕組みやコストを理解して判断することが重要です。
まとめ|CFDの両建ては仕組みとコストを理解して利用しよう
CFDの両建てとは、一般に同じ銘柄の買いポジションと売りポジションを同時に保有する取引方法です。
同じ数量を保有すると、その後の価格変動による損益は相殺される方向になります。
一方で、スプレッドや各種調整額が関係するほか、両建て時の必要証拠金や注文の処理方法もCFD会社・商品によって異なります。
両建てを利用するときは、
- 本当に両建てする必要があるか
- どの程度のコストがかかるか
- 証拠金にどのような影響があるか
- どの条件で両建てを解消するか
を確認することが重要です。
両建ての仕組みだけでなく、その後のポジション管理まで考えたうえで利用するか判断しましょう。

