原油について調べていると、
「原油CFDと原油先物は何が違うの?」
「CFDにも限月はあるの?」
「原油CFDの価格は先物と同じなの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
原油CFDと原油先物は、どちらも原油価格の値動きを取引できますが、仕組みは異なります。
原油CFDはCFD会社が提供する差金決済商品で、原油先物は取引所で売買される先物契約です。
また、原油先物には限月があり、限月ごとに価格が異なる場合があります。原油CFDの中には、この先物価格を参照して価格が形成される商品もあります。
そのため、原油CFDを取引する場合でも、先物の限月や価格調整の仕組みを理解しておくことが重要です。
この記事では、原油CFDと原油先物の違いを、仕組み、限月、レバレッジ、必要資金、取引単位、コストなどから初心者向けに比較します。
原油CFDと原油先物の違いとは?
原油CFDと原油先物の主な違いは、次のとおりです。
| 比較項目 | 原油CFD | 原油先物 |
|---|---|---|
| 取引の仕組み | CFD会社との差金決済 | 取引所で先物契約を売買 |
| 限月 | 商品による。先物参照型では関係する | 限月がある |
| レバレッジ | 証拠金を利用 | 証拠金を利用 |
| 取引単位 | CFD会社・商品ごとに異なる | 取引所の商品仕様で決まる |
| 必要資金 | 商品条件による | 証拠金・取引単位による |
| 価格調整 | 先物参照型では行われる場合がある | 限月ごとの価格で取引 |
| 取引場所 | CFD会社 | 先物取引所 |
大きく整理すると、
原油CFD=CFD会社が提供する差金決済商品
原油先物=取引所で売買される先物契約
という違いがあります。
ただし、原油CFDには原油先物価格を参照する商品もあるため、両者には深い関係があります。
原油CFDとは?
原油CFDは、WTI原油やブレント原油などの価格変動を差金決済で取引する商品です。
実際の原油を受け取るのではなく、CFD会社が定める取引単位、証拠金率、取引時間、ロスカットルールなどに従って取引します。
同じWTI原油を対象としていても、CFD会社によって商品仕様が異なる場合があります。
参考記事:「原油CFDとは?WTI原油を取引する仕組み・特徴・リスクを解説」
原油先物とは?
原油先物は、将来の一定時点を基準とする原油の先物契約を取引所で売買する商品です。
代表的なものにはWTI原油先物やブレント原油先物があります。
原油先物の大きな特徴が、契約ごとに限月があることです。
参考記事:「WTI原油とブレント原油の違いとは?特徴・価格差・CFDでの選び方を解説」
原油先物の「限月」とは?
原油CFDと原油先物の関係を理解するうえで、特に重要なのが限月です。
限月とは契約月のこと
限月とは、先物契約の決済時期や取引期限に対応する契約月のことです。
同じWTI原油先物でも、異なる限月の契約が同時に取引されています。
例えば、
- 期近の限月
- その次の限月
- さらに先の限月
というように、契約月ごとに別の先物価格が形成されます。
期近と期先で価格が違うことがある
同じ原油でも、期近の先物価格と期先の先物価格が同じとは限りません。
在庫、需給見通し、金利、保管コストなどによって、限月ごとに価格差が生まれる場合があります。
そのため、
「WTI原油先物には一つの価格しかない」
と考えるのは正確ではありません。
継続して取引する場合は次の限月へ移ることがある
先物には期限があるため、同じ原油ポジションを継続したい場合には、現在の限月を決済して次の限月へ移すことがあります。
このように、保有する限月を次へ移すことを一般にロールオーバーと呼びます。
コンタンゴとバックワーデーションとは?
限月ごとの価格差を見るときに使われる代表的な用語が、コンタンゴとバックワーデーションです。
コンタンゴとは?
コンタンゴとは、一般に期先の先物価格が期近より高い状態をいいます。
例えば、
- 期近:70ドル
- 期先:72ドル
であれば、期先の方が高い状態です。
バックワーデーションとは?
バックワーデーションとは、一般に期先の先物価格が期近より低い状態をいいます。
例えば、
- 期近:72ドル
- 期先:70ドル
のような状態です。
原油市場では需給や在庫状況などによって、コンタンゴとバックワーデーションが変化します。
この限月間の価格差は、先物価格を参照する原油CFDの価格調整にも関係する場合があります。
原油CFDが原油先物価格を参照する仕組み
原油CFDと原油先物は別の商品ですが、原油CFDには先物価格を参照して価格が形成される商品があります。
原油CFDには先物価格を参照する商品がある
CFD会社は、WTI原油先物やブレント原油先物などを参照してCFD価格を提示する場合があります。
そのため、原油CFDの価格は原油先物価格と関係します。
ただし、
原油先物を参照していることと、原油CFDそのものが先物契約であることは別です。
CFDでは、取引条件や決済の仕組みはCFD会社の商品仕様に従います。
参照する限月が切り替わる場合がある
先物には限月があるため、CFD会社が参照している先物も、一定のタイミングで次の限月へ切り替わる場合があります。
例えば、期近の先物から次の限月へ参照先が変わるときに、2つの先物価格に差があることがあります。
限月交代時に価格調整が行われることがある
先物参照型の原油CFDでは、参照する限月が切り替わる際に、価格差を調整する仕組みが設けられている場合があります。
例えば、旧限月より新しい限月の価格が高い場合、参照価格を単純に切り替えるとCFD価格が大きく変化して見えることがあります。
そこで、その価格差を調整するために、口座へ調整額を反映する仕組みが採用される場合があります。
名称や計算方法はCFD会社によって異なり、
- 価格調整額
- 価格調整
- 期日調整額
などと呼ばれることがあります。
限月が切り替わった際の価格差が、そのまま利益や損失になるとは限りません。
実際に取引する商品の価格調整ルールを確認しましょう。
先物の限月やロールオーバーとCFDの価格調整額の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:「CFDの価格調整額とは?先物・限月・ロールオーバーとの関係を解説」
原油CFDと原油先物のレバレッジ・必要資金の違い
原油CFDと原油先物は、どちらも証拠金を利用して取引する点では共通しています。
どちらも証拠金を利用する
原油CFDも原油先物も、取引金額の全額を用意するのではなく、一定の証拠金をもとに取引します。
そのため、どちらもレバレッジを利用した取引になります。
原油CFDはCFD会社ごとに取引条件が異なる
原油CFDでは、証拠金率や最低取引数量、取引単位などがCFD会社・商品によって異なります。
比較的小さな取引単位から取引できる商品もありますが、すべての原油CFDが少額取引に向いているわけではありません。
原油先物は取引所の商品仕様・証拠金制度に従う
原油先物では、取引所が商品ごとに契約単位などを定めています。
また、必要となる証拠金は市場環境などによって変更される場合があります。
先物では1枚あたりの契約サイズが大きい商品もあるため、必要証拠金だけでなく、価格変動時にどの程度の損益が発生するかまで確認することが重要です。
「1Lot」「1枚」の数字だけで比較しない
CFDの「1Lot」と先物の「1枚」は、同じ取引量を意味するわけではありません。
商品によって取引単位・契約サイズが異なるため、
「0.1Lotだから必ず小さい」
「1枚だから必ず大きい」
と表記だけで判断することはできません。
実際の取引金額や、一定の値幅が動いた場合の損益額を確認して比較しましょう。
原油CFDと原油先物の取引時間の違い
原油CFDと原油先物には、どちらも平日の長い時間帯で取引できる商品があります。
ただし、原油先物は取引所、原油CFDはCFD会社が取引時間を設定するため、完全に同じとは限りません。
夏時間・冬時間、海外市場の祝日、メンテナンスなどによって取引時間が変わる場合もあります。
実際に取引する際は、利用する商品の最新の取引時間を確認しましょう。
原油CFDと原油先物のコストの違い
原油CFDと原油先物では、確認すべきコストにも違いがあります。
原油CFDで確認したいコスト
原油CFDでは、買値と売値の差であるスプレッドが代表的な取引コストです。
また、商品によっては保有や限月交代などに関連する調整額が発生する場合があります。
取引手数料が無料でも、取引コストがゼロとは限りません。
原油先物で確認したいコスト
原油先物では、利用する証券会社などの売買手数料を確認します。
また、ポジションを継続するために次の限月へ移す場合は、限月間の価格差が取引結果に影響することがあります。
限月間の価格差は状況によって有利・不利のどちらにも働く可能性があるため、単純に「コスト」とだけ考えないことも重要です。
原油CFDと原油先物はどちらを選ぶ?
原油CFDと原油先物のどちらが適しているかは、資金や取引方法、商品への理解度などによって異なります。
原油CFDを検討しやすいケース
原油CFDは、
- CFD口座で原油価格を取引したい
- 比較的小さな取引単位を重視したい
- CFD会社の商品条件に合わせて取引したい
- 先物の限月を自分で直接乗り換える操作を避けたい
といった場合の選択肢になります。
ただし、先物価格を参照する原油CFDでは、限月交代や価格調整の仕組みを理解しておく必要があります。
原油先物を検討しやすいケース
原油先物は、
- 取引所の原油先物を直接取引したい
- 限月ごとの価格を見ながら取引したい
- コンタンゴやバックワーデーションなど先物市場の構造を理解している
といった場合の選択肢になります。
どちらか一方が常に優れているわけではありません。
取引単位、必要資金、限月、コストなどを比較して判断することが重要です。
なお、同じ「WTI原油」という名称でも、原油先物と原油CFDの価格が完全に一致するとは限りません。
原油CFDを利用する場合は、参照する先物や限月、価格調整の方法などの商品仕様も確認しましょう。
原油CFDを選ぶ場合は、CFD会社によって取扱銘柄や最低取引数量、必要証拠金、コストなども異なります。証券会社ごとの違いについては、以下の記事で比較しています。
参考記事:「原油CFDにおすすめの証券会社を比較|取引条件・コスト・特徴を解説」
原油CFDと原油先物についてよくある質問
原油CFDにも限月はありますか?
商品によります。
CFD自体に取引期限がない商品でも、原油先物を参照している場合は、参照先物の限月交代や価格調整が関係することがあります。
原油CFDは原油先物と同じ価格ですか?
完全に同じとは限りません。
参照する先物や限月、CFD会社の価格形成方法などによって差が生じる場合があります。
原油CFDと原油先物はどちらが初心者向けですか?
一律には決められません。
最低取引数量、必要資金、限月、コスト、取引時間、商品への理解度などを比較して判断しましょう。
まとめ|原油CFDと原油先物は似ているが別の商品
原油CFDと原油先物の大きな違いは、原油CFDがCFD会社の提供する差金決済商品であるのに対し、原油先物は取引所で売買され、限月があることです。
特に原油CFDでは、
先物には限月がある
↓
CFDがその先物価格を参照する場合がある
↓
そのため限月交代や価格調整がCFDにも関係することがある
という関係を理解しておくことが重要です。
原油CFDと原油先物は別の商品であり、必要資金、取引単位、証拠金制度、コストなども異なります。
実際に取引する際は、参照する先物、限月、価格調整、取引単位、証拠金、コストなどの商品仕様を確認したうえで、自分の取引方法に合うものを検討しましょう。

