FOMCのドットチャート・SEPとは?金利見通しの見方やFX・ドル円への影響を初心者向けに解説

経済指標・ファンダメンタルズ

FOMCでは、政策金利や声明文だけでなく、参加者による経済・金利見通しが公表されることがあります。

この経済見通しをまとめた資料が「SEP」で、その中で参加者が適切だと考える将来の政策金利水準を点で示したものが「ドットチャート」です。

FX市場では、政策金利見通しの中央値が前回や市場予想からどう変化したのかが注目されます。

見通しが変化すると、米国債利回りや米ドルを通じて、ドル円が動く場合があります。

ただし、ドットチャートは将来の政策を約束する資料ではありません。

政策金利の中央値だけでなく、点の分布、経済見通し、FOMC声明文、FRB議長の記者会見も組み合わせて確認することが大切です。

この記事では、SEPとドットチャートの違い、公表時期、金利見通しの見方、FX・ドル円への影響を初心者向けに解説します。

  1. FOMCのSEPとは
    1. FOMC参加者の経済・金利見通しをまとめた資料
    2. SEPとドットチャートの違い
    3. FOMC参加者が個別に予測を提出する
  2. FOMCのドットチャートとは
    1. 将来の政策金利見通しを点で示した図
    2. 一つの点が一人の参加者の見通しを表す
    3. FOMCの公式な政策金利予定ではない
  3. SEP・ドットチャートはいつ公表される?
    1. 通常は年4回のFOMCで公表される
    2. 政策金利・声明文と同時に公表される
  4. SEPに掲載される主な経済見通し
    1. 実質GDP成長率
    2. 失業率
    3. PCEインフレ率
    4. コアPCEインフレ率
    5. 政策金利
  5. SEPの経済見通しの見方
    1. 中央値を確認する
    2. 前回のSEPからの修正を確認する
    3. 当年・翌年・長期見通しを分けて確認する
    4. GDP・失業率・インフレを組み合わせて確認する
  6. ドットチャートの見方
    1. 各年末の政策金利見通しを確認する
    2. 中央値が前回から上がったか下がったか確認する
    3. 点の分布とばらつきを確認する
    4. 長期的な政策金利見通しを確認する
    5. 利下げ回数だけで判断しない
  7. ドットチャートと声明文・議事要旨の違い
  8. SEP・ドットチャートのタカ派・ハト派の見方
  9. SEP・ドットチャートがFX・ドル円に影響する理由
    1. 将来の利上げ・利下げ予想が変化する
    2. 米国債利回りが動く
    3. 米ドルを含む複数の通貨ペアが動く
    4. 日銀など相手国の金融政策も影響する
  10. ドットチャートがタカ派でもドル高にならない理由
    1. 市場予想どおりで織り込み済みだった
    2. 声明文や記者会見がハト派的だった
    3. 経済見通しに弱い材料が含まれていた
    4. 点の移動が少人数によるものだった
    5. ほかの市場材料が優先された
  11. FX初心者がSEP・ドットチャートを確認する手順
    1. SEPの公表予定と市場予想を確認する
    2. 政策金利中央値を前回と比較する
    3. 経済見通しと点の分布を確認する
    4. 声明文と記者会見を確認する
    5. 米国債利回りとドル円の反応を記録する
  12. FOMCのドットチャート・SEPに関するよくある質問
    1. FOMCのSEPとは何ですか?
    2. ドットチャートとは何ですか?
    3. SEP・ドットチャートはいつ公表されますか?
    4. ドットチャートは将来の政策金利を約束するものですか?
    5. ドットチャートが上方修正されるとドル円は必ず上昇しますか?
  13. まとめ|ドットチャートは中央値だけでなく経済見通しと分布も確認しよう

FOMCのSEPとは

SEPは、FOMC参加者によるアメリカ経済と政策金利の見通しをまとめた資料です。

FOMC参加者の経済・金利見通しをまとめた資料

SEPは「Summary of Economic Projections」の略です。

日本語では「経済見通し」や「経済予測概要」などと呼ばれます。

FOMC参加者が、それぞれの経済認識と適切だと考える金融政策を前提として、次のような項目の見通しを提出します。

  • 実質GDP成長率
  • 失業率
  • PCEインフレ率
  • コアPCEインフレ率
  • 政策金利

SEPを見ることで、FOMC参加者がアメリカの景気、雇用、物価、金融政策をどのように予測しているのかを確認できます。

ただし、SEPはFOMC全体が合意した一つの予測ではありません。

複数の参加者が個別に提出した見通しをまとめた資料です。

FOMCの仕組み、政策金利、声明文、FRB議長の記者会見については、「FOMCとは?」の記事で詳しく解説しています。

SEPとドットチャートの違い

SEPとドットチャートは、同じ意味ではありません。

用語主に示す内容
SEPGDP、失業率、インフレ率、政策金利などの見通し
ドットチャート参加者が適切だと考える将来の政策金利水準

SEPは、FOMC参加者による経済見通し全体をまとめた資料です。

ドットチャートはSEPの一部であり、将来の政策金利見通しを点で示した図です。

初心者は、

SEPは経済見通し全体
ドットチャートは政策金利見通し

と整理すると分かりやすいでしょう。

FOMC参加者が個別に予測を提出する

SEPでは、連邦準備制度理事会の理事や地区連銀総裁が、それぞれ予測を提出します。

政策決定で投票権を持つ参加者だけでなく、投票権を持たない地区連銀総裁も見通しを提出します。

それぞれの参加者は、今後適切だと考える金融政策が行われることを前提として、景気や物価、政策金利を予測します。

そのため、参加者間で経済認識が異なれば、政策金利の見通しにもばらつきが生じます。

アメリカの中央銀行制度や、FRBとFOMCの関係については、「FRBとは?」の記事で詳しく解説しています。

FOMCのドットチャートとは

ドットチャートは、FOMC参加者が将来どの程度の政策金利を適切だと考えているのかを示す図です。

将来の政策金利見通しを点で示した図

ドットチャートでは、参加者が各年末と長期的に適切だと考える政策金利水準が点で示されます。

一般的には、次のような期間の見通しを確認できます。

  • 当年末
  • 翌年末
  • 翌々年末など今後数年
  • 長期

横軸には対象年、縦軸には政策金利の水準が表示されます。

同じ年に同じ金利水準を予測する参加者が複数いる場合は、その水準に複数の点が横に並びます。

市場では、点が集中している水準や、予測の中央値が注目されます。

一つの点が一人の参加者の見通しを表す

ドットチャートに表示される一つの点は、一人のFOMC参加者による政策金利見通しを表します。

ただし、通常はどの点が誰の予測なのかは公表されません。

そのため、特定のFRB理事や地区連銀総裁の予測を、ドットチャートだけから判断することはできません。

FOMCの公式な政策金利予定ではない

ドットチャートは、将来の政策金利を決定した予定表ではありません。

現時点の経済見通しを前提にした参加者の予測です。

将来の利上げ・利下げを約束するものではなく、経済状況が変化すれば、次回のSEPで見通しが修正される可能性があります。

SEP・ドットチャートはいつ公表される?

SEPとドットチャートは、すべてのFOMCで公表されるわけではありません。

通常は年4回のFOMCで公表される

SEPとドットチャートは、通常、年4回のFOMCで公表されます。

多くの場合、次の月の会合が対象になります。

  • 3月
  • 6月
  • 9月
  • 12月

すべてのFOMCで公表されるわけではないため、経済指標カレンダーで、今回の会合にSEPが含まれるか確認しましょう。

政策金利・声明文と同時に公表される

SEPがある会合では、政策金利、FOMC声明文、SEP・ドットチャートが同時に公表され、その後にFRB議長の記者会見が行われます。

FOMC当日は、まず次の3項目を確認します。

  1. 政策金利
  2. FOMC声明文
  3. SEP・ドットチャート

その後、FRB議長の記者会見を確認しましょう。

政策金利が市場予想どおりでも、ドットチャートの変化によって米国債利回りやドル円が動く場合があります。

SEPに掲載される主な経済見通し

SEPには、景気、雇用、物価、政策金利に関する予測が掲載されます。

実質GDP成長率

実質GDP成長率は、物価変動の影響を除いたアメリカ経済の成長率です。

見通しの上方修正は景気の強さ、下方修正は景気減速が意識される材料になります。

ただし、金融政策への影響は、失業率やインフレ見通しと組み合わせて判断します。

GDPの成長率や個人消費、住宅投資などの見方については、「GDPとは?」の記事で詳しく解説しています。

失業率

失業率の見通しから、FOMC参加者が将来の労働市場をどのように予測しているのかを確認できます。

下方修正は雇用市場の強さ、上方修正は雇用悪化が意識される材料になります。

PCEインフレ率

PCEインフレ率は、FRBが物価目標の達成状況を判断するうえで重視する物価指標の見通しです。

見通しの上方修正は高金利の長期化、下方修正は利下げ観測につながる場合があります。

FRBの物価判断とPCEデフレーターの関係については、「PCEデフレーターとは?」の記事で詳しく解説しています。

コアPCEインフレ率

コアPCEインフレ率は、価格変動が大きい食品とエネルギーを除いた、基調的なインフレ見通しです。

高い状態が続く見通しなら、FRBが利下げを急がない理由になる場合があります。

政策金利

各年末と長期的に適切だと考えられる政策金利見通しは、ドットチャートとして示されます。

市場では、政策金利見通しの中央値が前回から上がったのか、下がったのかが特に注目されます。

ただし、政策金利だけを見るのではなく、GDP、失業率、インフレ率の見通しが変化した理由も確認しましょう。

SEPの経済見通しの見方

SEPでは、現在の予測値だけでなく、前回からどのように修正されたのかを確認します。

中央値を確認する

SEPには複数の参加者による予測が掲載されます。

市場では、それらの予測の中央に位置する中央値がよく使われます。

主に確認する中央値は次のとおりです。

  • 実質GDP成長率
  • 失業率
  • PCEインフレ率
  • コアPCEインフレ率
  • 政策金利

ただし、中央値はFOMC全体が合意した公式予測ではありません。

複数の参加者による見通しの中央を示した数値です。

前回のSEPからの修正を確認する

SEPを見るときは、今回の数値だけで判断せず、前回からの変化を確認します。

たとえば、次のような変化が注目されます。

  • GDP見通しが上方修正された
  • 失業率見通しが下方修正された
  • インフレ見通しが上方修正された
  • 政策金利中央値が引き上げられた

前回からの修正によって、FOMC参加者の景気・物価・金融政策に対する認識の変化を読み取れます。

当年・翌年・長期見通しを分けて確認する

当年の見通しは、足元の経済状況に対する評価を反映しやすくなります。

翌年以降の見通しからは、景気や物価がどのように変化すると予測されているのかを確認できます。

長期見通しは、景気や物価が一時的な変動から落ち着いた状態で、参加者がどの程度の成長率、失業率、政策金利を想定しているのかを考える材料になります。

足元の数字だけでなく、中期・長期的な変化も確認しましょう。

GDP・失業率・インフレを組み合わせて確認する

経済見通しは、一つの項目だけで判断しないことが重要です。

経済見通しの変化考えられる見方
GDP上方修正・失業率低下・インフレ上方修正景気が強く、インフレ警戒も続きやすい
GDP下方修正・失業率上昇・インフレ下方修正景気減速と利下げ観測が意識されやすい
GDP下方修正・失業率上昇・インフレ上方修正景気悪化とインフレが同時に進む懸念
GDP上方修正・インフレ下方修正景気を維持しながら物価が鈍化する可能性

GDPが上方修正されたからタカ派、下方修正されたからハト派と単純に判断するのではなく、失業率やインフレ率との組み合わせを確認しましょう。

ドットチャートの見方

ドットチャートでは、政策金利の中央値だけでなく、各年の見通しや点の分布も確認します。

各年末の政策金利見通しを確認する

ドットチャートでは、当年末、今後数年、長期的に適切だと考える政策金利水準を確認できます。

最初に、当年末と翌年末の政策金利見通しを確認します。

現在の政策金利と当年末の中央値を比較することで、年内にどの程度の利上げ・利下げが想定されているのかを考えられます。

翌年末以降の中央値からは、政策金利がどの程度のペースで変化すると予測されているのかを確認できます。

中央値が前回から上がったか下がったか確認する

政策金利中央値が前回から上方修正されれば、高い金利が長く続くとの見方や、利下げ回数が少なくなるとの予想につながる場合があります。

反対に、中央値が下方修正されれば、利下げ回数が増えるとの見方や、金融緩和が早まるとの予想につながる可能性があります。

ただし、中央値が変わらなくても、点の分布が大きく変化している場合があります。

中央値だけでなく、全体の分布も確認しましょう。

点の分布とばらつきを確認する

点が狭い範囲に集中していれば、参加者の政策金利見通しが比較的近い状態です。

反対に、点が広い範囲に分散していれば、将来の景気や物価、適切な政策金利について意見が分かれている可能性があります。

見通しのばらつきが大きい場合には、今後の経済指標によって政策予想が変化しやすくなることがあります。

長期的な政策金利見通しを確認する

ドットチャートには、長期的に適切だと考える政策金利水準も示されます。

これは、景気や物価が安定し、一時的な金融引き締めや金融緩和の影響が薄れた状態での政策金利の目安です。

長期的な政策金利見通しが上昇すれば、以前より高い金利が正常な状態になるとの見方が強まった可能性があります。

ただし、この見通しも参加者による予測であり、固定された水準ではありません。

利下げ回数だけで判断しない

ドットチャートの政策金利差から、0.25%単位で利上げ・利下げの回数が推測されることがあります。

たとえば、現在のFF金利誘導目標レンジの中央値より、年末のドットチャート中央値が0.50%低ければ、0.25%の利下げを2回行う見通しとして解釈される場合があります。

ただし、実際の政策変更幅が常に0.25%になるとは限りません。

また、政策変更の時期や順番までは、ドットチャートから分かりません。

推測される回数だけでなく、経済見通しやFRB議長の説明も確認しましょう。

市場が予想する利上げ・利下げの時期、回数、変更幅や、相場への織り込みの見方については、利上げ・利下げ観測とは?の記事で詳しく解説しています。

ドットチャートと声明文・議事要旨の違い

FOMCでは複数の資料が公表され、それぞれ確認できる内容が異なります。

情報主に確認する内容
FOMC声明文今回の政策決定と公式な経済評価
FRB議長の記者会見政策判断の理由と今後の方向性
SEP・ドットチャート経済・物価・政策金利の予測
FOMC議事要旨会合内の議論と参加者の意見の広がり

ドットチャートは、FOMC参加者による将来の政策金利見通しを確認する資料です。

一方、FOMC声明文は今回の政策決定と公式な経済評価、FRB議長の記者会見は政策判断の理由や今後の方向性を確認するために使います。

FOMC議事要旨では、会合で行われた議論や参加者間の意見の違いを、より詳しく確認できます。

FOMC会合で行われた議論、公表時期、議事要旨の読み方については、「FOMC議事要旨とは?」の記事で詳しく解説しています。

ドットチャートだけで金融政策を判断せず、声明文、記者会見、議事要旨を組み合わせて確認しましょう。

SEP・ドットチャートのタカ派・ハト派の見方

SEPとドットチャートでは、政策金利だけでなく、景気・雇用・物価見通しの変化も確認します。

政策金利中央値や点の分布、経済見通しの変化から、FOMC参加者の見通しがタカ派・ハト派のどちらへ傾いたのかを判断します。

タカ派と判断されやすい変化ハト派と判断されやすい変化
政策金利中央値が上方修正された政策金利中央値が下方修正された
想定される利下げ回数が減少した想定される利下げ回数が増加した
インフレ見通しが上方修正されたインフレ見通しが下方修正された
GDP見通しが上方修正されたGDP見通しが下方修正された
失業率見通しが下方修正された失業率見通しが上方修正された

政策金利中央値やインフレ見通しの上方修正は、高い政策金利を長く維持する必要性が意識されるため、タカ派材料になりやすい変化です。

反対に、政策金利中央値やインフレ見通しの下方修正、失業率見通しの上方修正は、利下げの必要性が意識されるため、ハト派材料になる場合があります。

ただし、すべての項目が同じ方向へ変化するとは限りません。

政策金利中央値が上方修正されても、GDP見通しの下方修正や失業率見通しの上方修正が同時に示される場合があります。

一つの数値だけで判断せず、SEP全体を確認しましょう。

SEP・ドットチャートがFX・ドル円に影響する理由

SEPとドットチャートは、将来のアメリカの政策金利予想を変化させるため、FX市場へ影響します。

将来の利上げ・利下げ予想が変化する

為替市場では、現在の政策金利だけでなく、今後どの程度の利上げ・利下げが行われるのかが重視されます。

ドットチャートの中央値が上方修正されれば、高金利が長く続くとの見方や、利下げ回数が減るとの予想につながる場合があります。

反対に、中央値が下方修正されれば、利下げ回数が増えるとの見方につながる可能性があります。

金融政策予想が変化すると、米ドルを売買する動きが強まりやすくなります。

米国債利回りが動く

将来の政策金利見通しが変化すると、米国債利回りが動く場合があります。

ドットチャートが市場予想よりタカ派的であれば、米国債利回りが上昇し、米ドルが買われる可能性があります。

反対に、ハト派的であれば、米国債利回りが低下し、米ドルが売られる場合があります。

流れを整理すると、次のようになります。

SEP・ドットチャート
→ 金融政策予想
→ 米国債利回り
→ 米ドル
→ ドル円

ただし、米国債利回りとドル円が必ず同じ方向へ動くわけではありません。

ドットチャートの変化に反応しやすい米国2年債利回りと、景気・インフレ・財政なども反映する米国10年債利回りの見方については、米国債利回りとは?の記事で詳しく解説しています。

米ドルを含む複数の通貨ペアが動く

SEPとドットチャートの影響は、ドル円だけに限られません。

ユーロドル、ポンドドル、豪ドル米ドルなど、複数のドル通貨ペアに影響する場合があります。

タカ派的なドットチャートによって米ドル全体が買われれば、ユーロドルやポンドドルが下落することがあります。

反対に、ハト派的な内容によって米ドルが売られれば、ドル円が下落する一方、ユーロドルやポンドドルが上昇する場合があります。

日銀など相手国の金融政策も影響する

ドル円は、米ドルと円の相対関係で動きます。

ドットチャートがタカ派的でも、日銀の利上げ観測が強まって円が買われれば、ドル円が上昇しない場合があります。

反対に、ドットチャートがハト派的でも、日銀が金融緩和を続けるとの見方が強ければ、ドル円の下落が限定される可能性があります。

FOMCだけでなく、相手国の中央銀行や金利見通しも確認しましょう。

ドットチャートがタカ派でもドル高にならない理由

ドットチャートの政策金利中央値が上方修正されても、必ず米ドルが買われるわけではありません。

市場予想どおりで織り込み済みだった

相場を動かすのは、前回のドットチャートとの差だけではなく、発表前の市場予想との差です。

市場が事前に政策金利中央値の上方修正を予想していれば、その内容がすでに為替相場へ反映されている場合があります。

発表内容が市場予想どおりなら、米国債利回りや米ドルの反応が限定されることがあります。

発表前から米ドルが買われていた場合には、利益確定の売りによってドル円が下落する可能性もあります。

声明文や記者会見がハト派的だった

FOMCでは、政策金利、声明文、SEP・ドットチャート、FRB議長の記者会見という複数の材料が示されます。

ドットチャートがタカ派的でも、声明文で景気や雇用への懸念が強調されたり、FRB議長が利下げの可能性を示したりすれば、米ドルが売られることがあります。

一つの資料だけで判断せず、発表内容全体を確認することが大切です。

経済見通しに弱い材料が含まれていた

政策金利中央値が上方修正されていても、GDP見通しが下方修正され、失業率見通しが上方修正されている場合があります。

市場が金利見通しより景気悪化を重視すれば、タカ派的なドットチャートでも米ドルが上昇しない可能性があります。

点の移動が少人数によるものだった

ドットチャートの中央値は、中央付近にある一部の点が動くだけで変化する場合があります。

中央値が上方修正されても、点の大半が前回とほとんど変わっていないことがあります。

そのため、中央値だけでなく、点の分布全体や、どの金利水準に点が集中しているのかを確認しましょう。

ほかの市場材料が優先された

FOMCと同じ時期に、別の経済指標や金融政策、地政学リスクなどが注目されることがあります。

主な材料には、次のようなものがあります。

  • 株価の急変
  • 金融不安
  • 地政学リスク
  • 日銀やECBなど他国の金融政策
  • 為替介入への警戒

SEPとドットチャートだけで、ドル円の方向を決めつけないようにしましょう。

FX初心者がSEP・ドットチャートを確認する手順

SEPとドットチャートを見るときは、発表前の市場予想、発表内容、市場反応の順に確認すると整理しやすくなります。

SEPの公表予定と市場予想を確認する

最初に、今回のFOMCでSEPとドットチャートが公表されるのかを確認します。

あわせて、次の内容を確認しましょう。

  • 現在の政策金利
  • 今回の政策金利予想
  • 市場が予想する利上げ・利下げ回数
  • 前回のドットチャート中央値
  • 前回のGDP・失業率・物価見通し
  • 米国債利回りの方向

市場が何を予想しているのかを把握することで、発表内容が意外だったのかを判断しやすくなります。

政策金利中央値を前回と比較する

発表後は、当年末、翌年末、その先の年末、長期的な政策金利中央値を確認します。

特に、当年末と翌年末の中央値が前回から上がったのか、下がったのかを確認しましょう。

中央値の変化から、市場が想定する利上げ・利下げ回数が修正される場合があります。

経済見通しと点の分布を確認する

次に、政策金利見通しが変化した背景を確認します。

  • GDPは上方修正されたか
  • 失業率は上方修正されたか
  • PCEインフレ率は上方修正されたか
  • コアPCEインフレ率は上方修正されたか
  • 点はどの範囲に分布しているか

点が集中していれば、参加者の見通しが比較的近い状態です。

点が大きく分散していれば、将来の金融政策について意見が分かれている可能性があります。

政策金利中央値だけでなく、経済見通しと点の分布を組み合わせて確認しましょう。

声明文と記者会見を確認する

ドットチャートがタカ派的でも、声明文やFRB議長の記者会見がハト派的な場合があります。

次の内容を確認しましょう。

  • インフレに対する評価
  • 雇用と景気に対する評価
  • 利上げ・利下げを判断する条件
  • 今後の経済指標をどのように見るか
  • ドットチャートに対する議長の説明

発表材料が同じ方向を示しているのか、強弱が分かれているのかを整理します。

米国債利回りとドル円の反応を記録する

最後に、発表後の市場反応を確認します。

主に記録する内容は次のとおりです。

  • 政策金利
  • 当年末・翌年末の政策金利中央値
  • GDP・失業率・物価見通し
  • 点の分布
  • 声明文と記者会見の方向性
  • 米国債利回り
  • 米ドル
  • ドル円

記録を続けることで、中央値が上方修正されても、必ずドル高になるわけではないことを理解しやすくなります。

FOMCのドットチャート・SEPに関するよくある質問

FOMCのSEPとは何ですか?

SEPは、FOMC参加者による実質GDP成長率、失業率、PCEインフレ率、政策金利などの見通しをまとめた資料です。

FOMC全体が合意した一つの予測ではなく、参加者それぞれの見通しを集計しています。

ドットチャートとは何ですか?

ドットチャートは、FOMC参加者が各年末と長期的に適切だと考える政策金利水準を、点で示した図です。

一つの点が一人の参加者による見通しを表します。

SEP・ドットチャートはいつ公表されますか?

通常は、3月、6月、9月、12月のFOMCに合わせて年4回公表されます。

すべてのFOMCで公表されるわけではありません。

ドットチャートは将来の政策金利を約束するものですか?

将来の政策金利を約束するものではありません。

経済指標や金融市場の状況が変化すれば、次回のSEPで見通しが修正される可能性があります。

ドットチャートが上方修正されるとドル円は必ず上昇しますか?

必ず上昇するわけではありません。

上方修正が織り込み済みだった場合や、声明文・記者会見がハト派的だった場合には、ドル円が上昇しないことがあります。

日銀の金融政策や株価、市場全体のリスク環境も影響します。

まとめ|ドットチャートは中央値だけでなく経済見通しと分布も確認しよう

SEPは、FOMC参加者による景気、雇用、物価、政策金利の見通しをまとめた資料です。

ドットチャートはSEPの一部で、参加者が各年末と長期的に適切だと考える政策金利水準を点で示しています。

SEPとドットチャートは、通常、年4回のFOMCで公表されます。

ドットチャートを見るときは、政策金利中央値が前回や市場予想からどう変化したのかを確認します。

ただし、中央値だけでなく、点の分布、GDP、失業率、PCEインフレ率も重要です。

ドットチャートは将来の政策を約束する資料ではなく、経済状況が変化すれば見通しも修正されます。

FOMC声明文やFRB議長の記者会見も組み合わせて確認しましょう。

市場予想よりタカ派的であれば、米国債利回りの上昇やドル高が意識される場合があります。

反対に、ハト派的であれば、米国債利回りの低下やドル安が意識されることがあります。

ただし、内容が織り込み済みの場合や、ほかの発表内容と方向が異なる場合には、ドットチャートどおりにドル円が動くとは限りません。

発表後は、SEPの内容とともに、米国債利回り、米ドル、ドル円の反応も確認しましょう。

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