米ケース・シラー住宅価格指数は、アメリカの既存一戸建て住宅の価格変化を示す月次の経済指標です。
FX市場では、主に20都市圏指数の前年比や前月比が注目されます。
住宅価格の上昇が続けば、アメリカの住宅市場や家計資産が底堅いと判断される場合があります。
反対に、住宅価格の伸びが鈍化したり、価格が下落したりすれば、住宅市場や景気の減速が意識されることがあります。
ただし、住宅価格の上昇が住宅需要の強さではなく、販売可能な住宅の在庫不足によって起きている場合もあります。
発表結果によって、アメリカの景気やFRBの金融政策に対する市場予想が変化し、米国債利回りや米ドル、ドル円が動くことがあります。
ただし、米雇用統計や米CPI、FOMCなどと比べると、為替市場の反応が限定される場合もあります。
この記事では、米ケース・シラー住宅価格指数の基本、20都市圏指数、指数100の意味、住宅ローン金利や住宅在庫との関係、FX・ドル円への影響を初心者向けに解説します。
- 米ケース・シラー住宅価格指数とは
- 米ケース・シラー住宅価格指数で確認する主な項目
- 米ケース・シラー住宅価格指数の計算方法
- 米ケース・シラー住宅価格指数の「100」とは
- 20都市圏・10都市圏・全米住宅価格指数の違い
- 季節調整前と季節調整済みの違い
- FHFA住宅価格指数との違い
- 米住宅販売件数との違い
- 米ケース・シラー住宅価格指数と住宅ローン金利の関係
- 米ケース・シラー住宅価格指数と景気・個人消費・物価の関係
- 米ケース・シラー住宅価格指数がFX・ドル円に影響する理由
- 米ケース・シラー住宅価格指数の結果の見方
- 米ケース・シラー住宅価格指数とドル円の基本的な関係
- 強い米ケース・シラー住宅価格指数でもドル高にならない理由
- 米ケース・シラー住宅価格指数を見るときの注意点
- FX初心者が米ケース・シラー住宅価格指数を確認する手順
- 米ケース・シラー住宅価格指数に関するよくある質問
- まとめ|前年比だけでなく住宅在庫と金利も確認しよう
米ケース・シラー住宅価格指数とは
米ケース・シラー住宅価格指数は、住宅の販売戸数ではなく、住宅価格の変化を確認する指標です。
既存一戸建て住宅の価格変化を示す指標
米ケース・シラー住宅価格指数は、アメリカの既存一戸建て住宅の価格変化を示します。
同じ住宅が過去に売却された価格と、再び売却された価格を比較することで、住宅そのものの価格変化を測定します。
新築住宅の販売価格や、集合住宅全体の価格を直接示す指標ではありません。
住宅価格は、住宅ローン金利、家計所得、雇用、住宅在庫、人口動向などの影響を受けます。
住宅価格が上昇していても、住宅需要が強いのではなく、販売可能な住宅の在庫不足によって価格が押し上げられている場合があります。
価格だけで住宅需要の強さを判断しないことが大切です。
20都市圏指数が経済指標として注目される
ケース・シラー住宅価格指数には、全米住宅価格指数、10都市圏指数、20都市圏指数、都市別指数などがあります。
FXの経済指標としては、アメリカの主要20都市圏の価格変化をまとめた「20都市圏コンポジット指数」が注目されます。
経済指標カレンダーでは、主に20都市圏指数の前年比が表示されます。
現在の正式名称と旧名称
現在の正式名称は「S&P Cotality Case-Shiller Home Price Indices」です。
以前は「S&P CoreLogic Case-Shiller Home Price Indices」と呼ばれていました。
経済指標カレンダーでは、一般的に「米ケース・シラー住宅価格指数」や「S&Pケース・シラー住宅価格指数」と表示されます。
毎月発表される
米ケース・シラー住宅価格指数は毎月発表されます。
ただし、指数の対象となる月から発表までには時間差があります。
また、対象月とその前2か月の取引データを使う3か月移動平均で算出されるため、直近の住宅市場を即座に示す指標ではありません。
具体的な発表日と日本時間は、経済指標カレンダーで確認しましょう。
米ケース・シラー住宅価格指数で確認する主な項目
米ケース・シラー住宅価格指数を見るときは、20都市圏指数の前年比と前月比、市場予想との差、前回値の改定を確認します。
20都市圏指数の前年比
前年比は、前年の同じ月と比べて、主要20都市圏の住宅価格がどの程度上昇・低下したかを示します。
たとえば、前年比がプラス5%であれば、前年同月と比べて住宅価格が5%上昇したことを示します。
前年比のプラス幅が拡大していれば、住宅価格の上昇が加速している可能性があります。
反対に、プラス幅が縮小していれば、価格は上昇していても、上昇する勢いが弱まっている場合があります。
20都市圏指数の前月比
前月比は、前の月と比べた住宅価格の変化を示します。
前年比が中期的な住宅価格の基調を示すのに対し、前月比は短期的な変化を確認する材料になります。
前月比を見るときは、季節調整済みか季節調整前かも確認しましょう。
市場予想との差
市場予想との差は、発表結果が事前の予想より強かったのか、弱かったのかを示します。
FX市場では、住宅価格が上昇したかだけでなく、市場予想との差が重視されます。
前回値の改定
新しい住宅取引データが加わることで、過去の指数が修正される場合があります。
今回値だけでなく、改定後の前回値も確認しましょう。
米ケース・シラー住宅価格指数の計算方法
米ケース・シラー住宅価格指数は、住宅の平均販売価格や中央値を単純に集計したものではありません。
同じ住宅の売買価格を比較するリピートセールス方式
ケース・シラー住宅価格指数では、同じ住宅が過去に売却された価格と、再び売却された価格を比較する「リピートセールス方式」が使われます。
たとえば、ある住宅が以前30万ドルで売却され、その後36万ドルで売却された場合、その価格変化を指数の計算に利用します。
同じ住宅の価格を比較するため、その月に販売された住宅の広さや価格帯が変化した影響を抑えやすい点が特徴です。
平均価格や中央値では、高価格帯の住宅が多く売れただけでも数値が上昇する場合があります。
ケース・シラー住宅価格指数は、こうした住宅構成の変化による影響を受けにくいように作られています。
3か月移動平均のため住宅価格の変化が遅れて表れる
ケース・シラー住宅価格指数は、対象月だけでなく、その前2か月を含む3か月分の取引データを使って算出されます。
たとえば、12月の指数には、10月、11月、12月の売買データが使用されます。
3か月分のデータを使うことで、取引件数の少なさや一時的な変動による影響を抑えています。
一方で、住宅価格の急激な変化が指数へ表れるまでには時間がかかります。
発表時点では住宅ローン金利や住宅需要がすでに変化している場合があるため、米住宅販売保留指数、米中古住宅販売件数、住宅ローン金利などと組み合わせて確認しましょう。
米ケース・シラー住宅価格指数の「100」とは
ケース・シラー住宅価格指数は、住宅価格の金額そのものではなく、基準時点からの変化を示す指数です。
2000年1月の住宅価格を100としている
ケース・シラー住宅価格指数は、2000年1月の住宅価格水準を100として計算されています。
指数が200であれば、基準時点のおおむね2倍、指数が250であれば約2.5倍の価格水準を示します。
ただし、指数は住宅の平均販売価格を示すものではありません。
指数200だからといって、住宅の平均価格が20万ドルという意味ではありません。
指数の水準より前年比・前月比を確認する
指数が100を大きく上回っていても、前月比や前年比で低下が続いていれば、住宅価格の勢いが弱まっている可能性があります。
反対に、指数の水準が比較的低くても、前月比や前年比が改善していれば、住宅価格が回復へ向かっている場合があります。
FX市場では、指数が100を上回っているかより、市場予想との差や上昇率の変化が重視されます。
20都市圏・10都市圏・全米住宅価格指数の違い
ケース・シラー住宅価格指数には、対象地域の異なる複数の指数があります。
| 指数 | 主に確認する範囲 |
|---|---|
| 20都市圏指数 | 主要20都市圏の住宅価格 |
| 10都市圏指数 | 主要10都市圏の住宅価格 |
| 全米住宅価格指数 | 全米9つの国勢調査区分を基にした住宅価格 |
FXの経済指標カレンダーでは、主に20都市圏指数の前年比が注目されます。
ただし、20都市圏指数は主要都市を対象としているため、アメリカ全体の住宅価格を確認するときは、全米住宅価格指数も参考になります。
都市部と地方では、住宅在庫、人口、雇用、住宅価格の方向が異なる場合があります。
季節調整前と季節調整済みの違い
ケース・シラー住宅価格指数には、季節調整前の指数と季節調整済みの指数があります。
| 表記 | 意味 | 主な用途 |
|---|---|---|
| NSA | 季節調整前 | 主に前年比の確認 |
| SA | 季節調整済み | 主に前月比の確認 |
NSAは「Not Seasonally Adjusted」の略です。
住宅市場には、引っ越しが多い時期や冬季の取引減少など、季節的な変動があります。
NSA指数には、こうした季節的な影響が含まれています。
SAは「Seasonally Adjusted」の略です。
季節的な価格変動を調整することで、前の月との変化を比較しやすくしています。
経済指標カレンダーによって表示方法が異なる場合があるため、前年比と前月比を見るときは、NSA・SAのどちらが使われているか確認しましょう。
FHFA住宅価格指数との違い
米ケース・シラー住宅価格指数とFHFA住宅価格指数は、どちらもアメリカの一戸建て住宅価格の変化を示します。
ただし、対象となる住宅取引データや地域の範囲などが異なります。
| 指標 | 主な特徴 |
|---|---|
| 米ケース・シラー住宅価格指数 | 主要都市圏を中心に、既存一戸建て住宅の価格変化を確認 |
| FHFA住宅価格指数 | 住宅ローンデータを使い、より広い地域の一戸建て住宅価格を確認 |
ケース・シラー住宅価格指数は、住宅売買データを使い、同じ住宅の売買価格を比較します。
FHFA住宅価格指数は、主にファニーメイやフレディマックが関係する住宅ローンの取引データを使って算出されます。
対象となる住宅ローン、価格帯、地域構成が異なるため、両方の指数の上昇率が同じになるとは限りません。
一つの指標だけで住宅価格全体を判断せず、両方の方向を確認することが大切です。
米住宅販売件数との違い
米中古住宅販売件数、米新築住宅販売件数、米ケース・シラー住宅価格指数は、それぞれ確認する内容が異なります。
| 指標 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| 米中古住宅販売件数 | 取引が完了した中古住宅の販売戸数 |
| 米新築住宅販売件数 | 新築一戸建て住宅の販売契約 |
| 米ケース・シラー住宅価格指数 | 既存一戸建て住宅の価格変化 |
ケース・シラー住宅価格指数は、住宅が何戸売れたかではなく、住宅価格がどのように変化したかを示します。
販売件数が減少していても、住宅在庫が不足していれば、住宅価格が上昇する場合があります。
反対に、販売件数が増加しても、住宅在庫が増えれば、住宅価格の伸びが鈍化する可能性があります。
中古住宅の販売件数、住宅在庫、在庫月数、販売価格の見方については、「米中古住宅販売件数とは?」の記事で詳しく解説しています。
新築一戸建て住宅の販売件数、住宅在庫、在庫月数、販売価格の見方については、「米新築住宅販売件数とは?」の記事で詳しく解説しています。
米ケース・シラー住宅価格指数と住宅ローン金利の関係
住宅ローン金利は、購入者の返済負担を通じて、住宅需要や住宅価格に影響します。
住宅ローン金利の上昇・低下が住宅価格に影響する
住宅ローン金利が上昇すると、同じ価格の住宅を購入しても、毎月の返済額や支払利息が増えます。
その結果、住宅購入を延期する人や、購入する住宅の価格を下げる人が増える可能性があります。
住宅需要が弱まれば、住宅価格の上昇が鈍化したり、価格が下落したりする場合があります。
反対に、住宅ローン金利が低下すれば、購入者の返済負担が軽くなり、住宅需要や住宅価格を支える可能性があります。
ただし、雇用や所得への不安が強ければ、金利が低下しても住宅需要が回復しない場合があります。
在庫不足では高金利でも住宅価格が上昇することがある
住宅ローン金利が高くても、販売可能な住宅が不足していれば、住宅価格が上昇する場合があります。
特に、低い金利で住宅ローンを借りている所有者が、住宅の売却や住み替えを控えると、中古住宅の在庫が減少します。
購入希望者に対して販売物件が少なければ、住宅販売件数が伸びなくても、住宅価格が高い状態を維持する可能性があります。
所得・雇用・住宅在庫も確認する
住宅価格は、住宅ローン金利だけで決まるわけではありません。
次のような要因も影響します。
- 家計所得
- 雇用状況
- 住宅在庫
- 人口移動
- 住宅建設の状況
- 住宅ローンの審査環境
- 消費者心理
政策金利の変更が市場金利や住宅ローン金利、為替相場へ与える影響については、「政策金利とは?」の記事で詳しく解説しています。
米ケース・シラー住宅価格指数と景気・個人消費・物価の関係
住宅価格は、住宅市場だけでなく、家計資産や個人消費、住宅購入の負担を考える材料にもなります。
住宅価格の上昇は家計資産を増やす場合がある
住宅価格が上昇すると、住宅を所有している家計の資産価値が増えます。
家計が自分の資産が増えたと感じれば、消費者心理が改善し、個人消費を支える場合があります。
ただし、住宅を所有していない人にとっては、住宅価格の上昇が購入負担の増加につながります。
住宅価格の下落は消費を抑える場合がある
住宅価格が下落すると、住宅を所有する家計の資産価値が低下します。
家計が将来に不安を感じ、消費を控える可能性があります。
住宅市場の低迷が建設、不動産仲介、家具、家電、住宅改修などへ波及すれば、景気全体を下押しする場合があります。
住宅価格上昇は住宅購入の負担を増やす
住宅価格が所得より速く上昇すると、頭金や住宅ローンの借入額が増えます。
住宅ローン金利も高い場合には、家計の返済負担がさらに重くなります。
その結果、住宅を購入できる人が減り、住宅需要が弱まる可能性があります。
CPIの住居費とは同じではない
ケース・シラー住宅価格指数は、住宅の売買価格を示します。
一方、米CPIの住居費は、実際の家賃や、持ち家を借りた場合に支払うと考えられる帰属家賃を中心に測定します。
住宅の購入価格が、そのままCPIの住居費へ組み込まれるわけではありません。
米CPIの総合指数、コア指数、住居費の見方については、「米CPIとは?」の記事で詳しく解説しています。
米ケース・シラー住宅価格指数がFX・ドル円に影響する理由
米ケース・シラー住宅価格指数は、アメリカの住宅市場や家計資産、景気、FRBの金融政策予想を変化させるため、米ドルやドル円に影響する場合があります。
アメリカの住宅市場を判断する材料になる
市場予想を上回る住宅価格の上昇が確認されれば、住宅市場が予想より底堅いと判断される場合があります。
反対に、住宅価格の伸びが市場予想以上に鈍化していれば、住宅市場の減速が意識されることがあります。
ただし、住宅価格の上昇が需要の強さではなく、在庫不足による可能性には注意が必要です。
景気や個人消費への評価が変化する
住宅価格が上昇すれば、住宅を所有する家計の資産価値が増え、個人消費を支える可能性があります。
住宅価格が下落すれば、家計が支出に慎重になり、景気を下押しする可能性があります。
このような見方から、住宅価格指数がアメリカ経済への評価を変化させる場合があります。
FRBの金融政策予想が変化する
住宅価格の上昇が予想以上に続けば、住宅市場や家計需要の底堅さが意識され、FRBの利下げ観測が後退する場合があります。
反対に、住宅価格の低下が続き、ほかの住宅指標や個人消費も弱ければ、景気減速への懸念から利下げ観測が強まる可能性があります。
ただし、FRBはケース・シラー住宅価格指数だけで金融政策を決定するわけではありません。
雇用、CPI、PCEデフレーター、個人消費、GDPなどを総合して判断します。
米国債利回りを通じてドル円が動く
強い住宅価格指数によってFRBの利下げ観測が後退すれば、米国債利回りが上昇し、米ドルが買われる場合があります。
反対に、弱い結果によって利下げ観測が強まれば、米国債利回りが低下し、米ドルが売られることがあります。
ドル円を見るときは、発表結果だけでなく、発表後の米国債利回りも確認しましょう。
主要指標より市場反応が小さい場合もある
ケース・シラー住宅価格指数は、米雇用統計、米CPI、FOMCなどと比べると、為替市場の反応が限定される場合があります。
結果が市場予想に近ければ、ドル円がほとんど動かないこともあります。
ただし、住宅市場の悪化や住宅価格の再加速が注目されている局面では、市場の反応が大きくなる可能性があります。
米ケース・シラー住宅価格指数の結果の見方
ケース・シラー住宅価格指数を見るときは、前回値、市場予想、今回の結果を比較します。
そのうえで、前年比、前月比、住宅ローン金利、住宅在庫、改定値を確認します。
前回値・市場予想・結果を比較する
経済指標カレンダーには、一般的に次の数値が表示されます。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 前回値 | 前回発表された住宅価格の変化 |
| 市場予想 | 発表前に市場が予想した数値 |
| 結果 | 今回実際に発表された数値 |
為替市場では、住宅価格が前月や前年から上昇したかだけでなく、市場予想との差が重視されます。
前年比と前月比を組み合わせる
前年比では、前年同月と比べた住宅価格の中期的な基調を確認します。
前月比では、前の月から住宅価格の上昇・低下が加速しているのかを確認します。
前年比が高くても、前月比で低下が続いていれば、住宅価格の勢いが弱まり始めている可能性があります。
反対に、前年比が低くても、前月比が改善していれば、住宅価格が回復へ向かっている場合があります。
20都市圏と都市別の方向を確認する
20都市圏全体の結果だけでなく、価格上昇が多くの都市へ広がっているかを確認します。
一部の都市だけが大きく上昇している場合には、アメリカ全体の住宅価格が同じように強いとは限りません。
住宅ローン金利と住宅在庫を確認する
住宅価格が上昇した場合には、住宅需要が強いのか、在庫不足によって価格が押し上げられたのかを確認します。
住宅ローン金利が高く、販売件数が弱いにもかかわらず価格が上昇していれば、住宅在庫の不足が影響している可能性があります。
改定値と数か月の流れを確認する
今回の結果が市場予想を上回っていても、前回値が下方修正されている場合があります。
また、ケース・シラー住宅価格指数は3か月移動平均で算出されるため、急激な変化が緩やかに指数へ表れます。
今回値だけでなく、改定後の前回値と数か月の流れを確認しましょう。
米ケース・シラー住宅価格指数とドル円の基本的な関係
米ケース・シラー住宅価格指数とドル円には、一般的に次のような関係があります。
ただし、実際の値動きが必ずこのとおりになるわけではありません。
市場予想を上回るとドル高・円安が意識されることがある
米ケース・シラー住宅価格指数が市場予想を上回ると、アメリカの住宅市場や景気が予想より強いと判断される場合があります。
FRBの利下げ観測の後退や米国債利回りの上昇を通じて、米ドルが買われ、ドル円が上昇することがあります。
市場予想を下回るとドル安・円高が意識されることがある
米ケース・シラー住宅価格指数が市場予想を下回ると、住宅市場や景気の減速が意識される場合があります。
FRBの利下げ観測が強まり、米国債利回りが低下すれば、米ドルが売られ、ドル円が下落することがあります。
強い米ケース・シラー住宅価格指数でもドル高にならない理由
米ケース・シラー住宅価格指数が市場予想を上回っても、必ずドル高・円安になるわけではありません。
強い結果が事前に織り込まれている
住宅価格の上昇が事前に予想され、発表前から米ドルが買われている場合があります。
実際の結果が市場予想に近ければ、新しい買い材料にならず、ドル高が進まないことがあります。
発表後の利益確定によって、ドル円が下落する場合もあります。
住宅価格上昇が供給不足による場合がある
住宅価格が上昇していても、住宅需要が強いとは限りません。
販売可能な中古住宅が不足し、限られた住宅を購入者が取り合うことで価格が上昇している場合があります。
この場合、販売件数や契約件数は弱いままという可能性があります。
前月比やほかの住宅指標が弱い
前年比が強くても、前月比が低下し、米中古住宅販売件数や米住宅販売保留指数も弱い場合があります。
複数の住宅指標から住宅市場の減速が確認されれば、前年比の強さだけではドル買い材料にならないことがあります。
ほかの経済指標や金融政策が優先される
米雇用統計、米CPI、PCEデフレーター、FOMCなどが注目されている場合には、ケース・シラー住宅価格指数への反応が限定されることがあります。
ドル円では、日銀の金融政策、日本国債利回り、為替介入への警戒、市場全体のリスク環境も影響します。
米ケース・シラー住宅価格指数を見るときの注意点
ケース・シラー住宅価格指数には、発表までの時間差や対象地域など、確認しておきたい注意点があります。
発表対象月から時間差がある
ケース・シラー住宅価格指数は、発表時点から数か月前の住宅取引を反映します。
その後に住宅ローン金利や住宅需要が変化している可能性があるため、指数だけで現在の住宅市場を判断しないことが大切です。
20都市圏だけで全米を判断しない
20都市圏指数は主要都市の住宅価格を示しますが、アメリカ全土のすべての地域を均等に対象としているわけではありません。
全米の住宅価格を見るときは、ケース・シラー全米指数やFHFA住宅価格指数も確認しましょう。
住宅価格の上昇だけで景気が強いと判断しない
住宅価格が上昇していても、販売可能な住宅の不足によって価格が押し上げられている場合があります。
住宅販売件数、住宅在庫、在庫月数、住宅ローン金利を組み合わせて確認しましょう。
発表直後の取引を避ける選択肢もある
市場予想との差が大きい場合や、ほかの重要な経済指標と同じ時間帯に発表された場合には、ドル円が短時間で動く可能性があります。
必ず取引を避けなければならないわけではありませんが、米国債利回りとドル円の方向を確認し、値動きが落ち着くまで待つ方法もあります。
初心者は、発表直後の値動きを無理に追いかけず、資金管理を優先しましょう。
FX初心者が米ケース・シラー住宅価格指数を確認する手順
米ケース・シラー住宅価格指数を見るときは、発表前、発表結果、関連材料、市場反応の順に確認すると整理しやすくなります。
発表前に日時・市場予想を確認する
経済指標カレンダーで発表日と日本時間を確認します。
発表前には、20都市圏指数の前回値と市場予想を確認しましょう。
同じ時間帯に発表されるほかの経済指標も確認しておきます。
発表後に前年比・前月比・改定値を確認する
発表後は、前年比と前月比が市場予想を上回ったのか、下回ったのかを確認します。
今回値だけでなく、前回値の改定も確認しましょう。
住宅ローン金利と住宅在庫を確認する
住宅価格が変化した理由を考えるため、住宅ローン金利、住宅在庫、住宅販売件数を確認します。
住宅価格が上昇している場合でも、住宅需要が強いのか、在庫不足が原因なのかを区別することが大切です。
米国債利回りとドル円の反応を記録する
発表後の米国債利回りとドル円の動きを確認します。
米国債利回りが上昇し、ドル円も上昇していれば、市場が強い結果と受け止めた可能性があります。
反対に、米国債利回りが低下し、ドル円も下落していれば、住宅市場や景気の減速が意識された可能性があります。
発表結果と市場反応を記録し、強い住宅価格指数でも必ずドル高になるわけではないことを確認しましょう。
米ケース・シラー住宅価格指数に関するよくある質問
米ケース・シラー住宅価格指数は何を示しますか?
アメリカの既存一戸建て住宅の価格変化を示します。
同じ住宅が過去に売買された価格を比較し、住宅価格がどの程度上昇・低下したかを指数化しています。
なぜ20都市圏指数が注目されるのですか?
アメリカの主要都市圏の住宅価格をまとめて確認でき、経済指標カレンダーで広く利用されているためです。
ただし、20都市圏だけで全米の住宅価格を判断しないことが大切です。
指数100とは何ですか?
2000年1月の住宅価格水準を100とした基準値です。
指数200であれば、住宅価格水準が基準時点のおおむね2倍であることを示します。
新築住宅も対象になりますか?
基本的には既存の一戸建て住宅を対象とします。
新築住宅の販売価格や販売件数を直接示す指標ではありません。
FHFA住宅価格指数とは何が違いますか?
対象となる住宅取引データや地域の範囲が異なります。
FHFA住宅価格指数は、主にファニーメイやフレディマックが関係する住宅ローンの取引データを使い、より幅広い地域を対象とします。
市場予想を上回るとドル円は必ず上昇しますか?
必ず上昇するわけではありません。
前月比、住宅在庫、住宅ローン金利、米国債利回り、事前の織り込みなどによって、ドル円が下落する場合もあります。
米ケース・シラー住宅価格指数はいつ発表されますか?
毎月発表されます。
具体的な発表日と日本時間は、経済指標カレンダーで確認しましょう。
まとめ|前年比だけでなく住宅在庫と金利も確認しよう
米ケース・シラー住宅価格指数は、アメリカの既存一戸建て住宅の価格変化を示す月次の経済指標です。
主に注目される20都市圏指数は、主要20都市圏の住宅価格をまとめて確認するために使われます。
同じ住宅の売買価格を比較するリピートセールス方式を採用し、3か月移動平均で算出される点が特徴です。
指数は2000年1月の住宅価格を100としており、指数の水準だけでなく、前年比、前月比、市場予想との差を確認することが大切です。
住宅価格が上昇していても、住宅需要が強いのではなく、販売可能な住宅の在庫不足が原因の場合があります。
住宅ローン金利、住宅在庫、住宅販売件数を組み合わせて、住宅価格が変化した理由を考えましょう。
市場予想を上回ればドル高・円安、下回ればドル安・円高が意識されることがありますが、前月比や米国債利回り、事前の織り込みによって、必ずその方向へ動くわけではありません。
発表後は米国債利回りとドル円の反応を確認し、一度の結果だけでアメリカの住宅市場や景気、為替の方向を決めつけないようにしましょう。

